■マンションの「決議が進まない」原因と法改正で変わる対応策

―司法書士の視点から解説―

■はじめに

近年、マンション管理において
「総会が成立しない」「修繕や建替えが進まない」といった問題が増えています。

特に、町田市・相模原市周辺では、
築20年〜40年程度のマンションも多く、

  • 所在不明の区分所有者
  • 相続未了
  • 区分所有者の高齢化・判断能力の低下

といった問題が複合的に発生するケースが見られます。

これらは、従来の管理体制だけでは対応が難しく、
管理組合の意思決定が実質的に止まってしまう原因となります。

令和8年4月施行の法改正は、こうした状況を踏まえて行われましたが、
実務上は依然として「誰がどこまで対応するのか」が曖昧な場面も少なくありません。

本コラムでは、司法書士の立場から
マンションにおける「詰まり」の構造と、その解決の方向性について解説します。


■マンションで起きている「詰まり」とは何か

マンション管理の現場では、次のような問題が発生しています。


■1.所在不明の区分所有者

  • 郵便が届かない
  • 連絡が取れない
  • 海外在住・転居不明

このような場合、総会決議の母数に含まれるため、
意思決定が事実上不可能になるケースがあります。


■2.相続未了

所有者が亡くなっているにもかかわらず、相続登記がされていない場合、

  • 誰が意思決定主体なのか不明
  • 管理費の請求先が不明

といった問題が発生します。


■3.区分所有者の高齢化

  • 判断能力の低下
  • 理事会機能の低下

これにより、重要な決議が先送りされる傾向があります。


👉 これらに共通するのは
**「法律的に整理しないと前に進まない問題」**である点です。


■法改正によって何が変わるのか

今回の法改正では、大きく次の点が見直されます。


■① 所在不明者の除外制度

裁判所の関与により、所在不明の区分所有者を
決議の母数から除外することが可能になります。

👉 これにより、意思決定が進みやすくなります。


■② マンション特有の管理制度の創設

  • 所有者不明専有部分の管理
  • 管理不全専有部分への対応

など、マンション特有の問題に対応する制度が整備されます。


■③ 決議要件の緩和

一定の条件下で、これまでより少ない賛成で
意思決定が可能になります。


👉 ただし重要なのは

**これらの制度は「自動で機能するものではない」**という点です。


■実務上の課題:誰が動くのか

これらの制度を活用するためには、

  • 裁判所への申立
  • 相続関係の調査
  • 登記の整理

といった対応が必要になります。

しかし、

  管理会社・管理組合それぞれの役割の中では対応が難しい場面もあり、
  法的な手続や専門的な判断が求められるケースが見られます。

という現実があります。


👉 その結果

制度はあるが使われない
という状態に陥る可能性があります。


■司法書士が関与する場面

このような場面で、司法書士が関与できる領域は多岐にわたります。


■1.相続・登記の整理

  • 相続人調査
  • 相続登記
  • 共有関係の整理

■2.裁判所手続

  • 所在不明者の除外申立
  • 管理人選任
  • 成年後見申立

■3.管理組合のサポート

  • 問題の整理
  • 対応方針の提案
  • 他士業との連携

👉 つまり

**「マンションの詰まりを法的に解消する役割」**を担います。


■今後のマンション管理に必要な視点

これからのマンション管理では、

  • 管理(従来の業務)
  • 法務(今後重要性が高まる領域)

この2つを分けて考える必要があります。


特に、

  • 売却できない
  • 修繕できない
  • 建替えが進まない

といった問題の多くは、
法的な整理が未了であることが原因です。


■まとめ

マンション管理は今後、

👉
「維持する」から「動かす」へ

大きく変化していきます。


その中で重要になるのは、

👉
「問題を法的に整理できるかどうか」

です。


当事務所では、

  • 相続・登記
  • 成年後見
  • 不動産法務

を横断して、マンションに関する問題の整理・解決をサポートしております。


■ご相談について

「このケースはどうすればいいのか分からない」

そのような段階からでも構いません。
まずはお気軽にご相談ください。