人口問題ほど「確実に予測できる未来」はありません。
出生率、年齢構成、労働人口、年金受給世代――いずれも何十年も前から現在の姿が予測されていました。
私自身、30年以上前にある大学の理事長へ「人口構造が変わる以上、今の経営のままでは将来立ち行かなくなる」と進言したことがあります。しかし、当時は耳を貸してもらえませんでした。
「若い者が余計なことを言うな」と思われたのでしょう。痛みを伴う長期課題ほど、見たくない・聞きたくないという心理が働くものです。
その大学は今や定員割れを起こし、存続が危ぶまれるリストに載ってしまいました。
これは大学に限らず、日本社会全体が抱える姿です。
認知症が医療的に“病気”として認識されるようになったのも最近のことで、人類が本来の寿命より長く生きるようになった結果ともいわれています。
医学的な決定的治療法はまだ存在しません。
だからこそ、
- 本人の意思をどう守るか
- 財産管理をどうするか
- 心情的な保護をどう行うか
という視点が非常に重要になります。
■遺言だけでは守りきれない領域
遺言は亡くなった後に効力が発生するため、認知症で判断力が落ちた場合、生前の意思実現に限界があります。
■成年後見の限界
成年後見制度もありますが、家族が後見人となった結果、財産侵害などの不正事例が多発し、「家族が後見人になれない」という事態も広がっています。信頼できる第三者専門職、特に司法書士の役割はますます重要です。
■民事信託(家族信託)の有用性
近年注目されているのが民事信託です。
アメリカでは本人の意思を「生存中から」「認知症になっても」「死後も」一貫して実現できる制度として広く活用されています。
契約書の作成、適切な設計、その後のメンテナンス。
これらを専門家とともに行うことで、家族と本人の双方にとって最も安心できる仕組みを構築できます。

